イタリアの空 ...di pacifica

イタリア、ボローニャからの日々を綴ります。

ボローニャの隠れたオアシス

ボローニャの中心地には数知れぬほどの隠れた中庭があるそう。日本のように垣根は使わず、塀で閉ざされていて、木製の仰々しい門構えからは想像できないような憩いの場があったりする。普段は住人とそのゲストだけが楽しめる特権。

中心街のちょっと入り組んだ通りにある高〜い塀に囲まれた一角Ca' Selvatica。中にはお庭があり訪問もできる、とフェースブックで読んでさっそく足を運んだダニエラ。住所を辿っていっても閉ざされた扉には何の表示もないし、お庭らしきものを垣間見ることもできない。

確かにFBページにはこの場所の歴史やお庭の様子が長〜く書かれているものの、開園時間や訪問方法についての案内は載っていない。余計に気になってメールで問い合わせたら、アポイント制で案内してくれるそう。それでようやく、土曜日に行ってきた。うんよくお天気も上々!

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ナポレオンの時代まで元修道院だった場所で、修道女たちの生活は5m近い高い塀で、世間から隔離されていた。そこでは修道女たちが貴族の娘たちを教育していたそう。

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その後修道院の大部分は壊され、一部は盲ろう施設、残りの土地がこの庭になった。
ここで管理されている水鳥などの他、様々な野鳥が出入りするオアシスになっているそう。

空も晴れ渡り、ずっとここにいたいと思わせる心地よさ。そんなお庭を後にして、門を出て数歩歩くと、隣には家具の修理工房が。おじいちゃんが家具職人だったというマウリが懐かしさから興味津々で覗いてると、人懐こい職人のおじさんが中に入れてくれた。中は広い空間で、もともとは修道院の家畜小屋だったとか。

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40年ほど前からここで仕事をしているそう。
確かに何もかもが、年代を感じさせる。


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時がとまったようなこの空間にみんな魅せられて、冗談が好きで気さくなおじさんに着いてどんどん奥へ。

そこにはおじさんの隠れ家が。

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ご自慢の目覚まし時計のコレクション。
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市からの依頼で何度か家具修復の講座を開いたけど、最後に開いた講座では受講者が立ったの3人、しかも二度目の授業には誰も来なかったとか。「もう過去の職人技だから、若者はコンピューターの勉強をしてたほうがいいんだ。」なんて言ってたけど、良いものを直しながら長く使っていく習慣が去ってしまっているのは切ない。


オークションのクリスティーズに呼ばれて日本に行った、なんて得意げに話してくれたペドレッティさん。職人の城を快く案内してくれてありがとう!


この日は、年に一度丘に上のサンルーカ聖堂のマリア像がボローニャの町に降りてくる日。毎年この日には雨が降ると言われている。

さっきまで清々しかった空が、夕方急に雲行きが怪しくなり、マリア様が降りてくる午後6時半頃には雨が降り始めた。不思議だけど本当の話。

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しかも降ったのはほんの1時間弱。写真はhttp://www.ilrestodelcarlino.it/bologna/foto/madonna-san-luca-processione-1.2111771から拝借しました。